【公式】岐阜県への移住・定住ポータルサイト ぎふとつながるDXプロジェクト 参加者レポート② - 岐阜県移住・定住ポータルサイト「ふふふぎふ」 岐阜県

participant report 3

「ぎふクラフト室」×「空き家活用」プロジェクト!

ぎふクラフト室とは?

株式会社SAGOJOによる「美濃和紙」と「空き家活用」という2つのプロジェクトで始動した「ぎふクラフト室」。前回の美濃和紙に続き、今回は空き家の現地視察に行ってきました!
本レポートではそのときの模様をお伝えします。

 

① 中島さんによるオリエンテーション 

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前回と同じく、まずはWASITA MINOに集合。
今回空き家視察のガイドをしてくださったのは、一般社団法人インクの代表理事の中島昭之さん(以下、中島さん)。
大阪の設計事務所で5年間修業された後、現在は主に美濃市を中心とした古民家の調査や改修、地域おこしの活動などをされています。

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実はWASITA MINOも、古民家を改修してリノベーションした建物。そのときに、一から関わった経験から、改装前の状況や経緯について、画像をまじえてお話してくださいました。
今回の視察の目的は、空き家を選定し、その空き家を活用する企画やアイデアを出すこと。視察する空き家の地図や、以前どのようなお店として使われていたのかなどの情報が記載された空き家一覧リストを共有し、イメージを膨らませます。

② 空き家見学 

参加メンバーで情報を共有したのち、空き家の地図を片手にいざ目的地の空き家へ向かいます。
中島さん曰く、空き家の判断基準は以下だそう。

  • 電気や水道のメーターそのものが取り外されていること
  •  表札がないこと
  • 使用されていないことを隣人に確認できること

今回はうだつの上がる街並みエリアを中心に、7軒の空き家を見て回りました。
その一部をご紹介します。

空き家その1(旧菓子屋)

空き家その1(旧菓子屋)

空き家その1(旧菓子屋)

空き家その1(旧菓子屋)

空き家その1(旧菓子屋)

空き家その1(旧菓子屋)

うだつの上がる町並みエリアのメイン通り沿いに建つこちらの空き家は、以前お菓子屋さんだった建物。玄関に入ってすぐのスペースは補助金でリノベーション済みということで、すぐにでも使えそうな空間。
レトロな風合いを残した「明治チョコレート」の看板が、時代を感じさせます。
建物の内部は比較的こぢんまりとしていて、部屋を進んだ奥には小さい庭があります。水回りは集中して設置されており、菓子屋のときにはここで製造をしていたそう。
中島さんによると、空き家を改修し飲食店として利用するなら、水回りや下水道などの既存設備が使用できる状態になっていることは、コスト面で有利とのこと。空き家活用では立地や建物の状態だけでなく、どのような目的で利用するか、そのための設備は整っているかなども重要なポイントになりそうです。

空き家その2(住宅街の一角にある2階建の空き家)

空き家その2(住宅街の一角にある2階建の空き家)

空き家その2(住宅街の一角にある2階建の空き家)

空き家その2(住宅街の一角にある2階建の空き家)

畳がとても綺麗で、襖も昔のものをそのまま利用できそうな内装。
こちらはうだつの上がる町並みから少し外れた住宅街の一角にある空き家。広めの家で部屋によっては絨毯やシャンデリアなどの設備も残ったままで、すぐにでも住めそうな印象を持ちました。ただし、隣の家が近いので洗濯物や生活音など注意が必要な点もありそうです。
紹介者の方から、周辺の環境を含めお話を伺います。駐車スペースは確保できるのか、その場合何台分の確保ができそうかといった詳細な点もしっかりヒアリング。

空き家その3(車の交通量が多い道路沿いの空き家)

空き家その3(車の交通量が多い道路沿いの空き家)

空き家その3(車の交通量が多い道路沿いの空き家)

空き家その3(車の交通量が多い道路沿いの空き家)

空き家その3(車の交通量が多い道路沿いの空き家)

空き家その3(車の交通量が多い道路沿いの空き家)

こちらはうだつの上がる町並みから少し外れた場所に建つ空き家。目の前には川が流れていて、自然を近くに感じられる物件です。ただし、目の前の道路は車の交通量が多く、小さい子供をもつ家族利用だと少し難しいという意見もありました。
2階は窓が大きいため、採光は十分で明るい空間。タンスや畳も比較的きれいな状態です。
1階は台所の一角が増築されており、屋根はトタン屋根のため雨風をしのぐには少し不安はあるものの、天井からの採光がとれるので明るさは十分だと感じました。
また、トイレやお風呂は離れにあるため、冬場は寒さが気になりますが、それぞれ独立したスペースは十分確保でき、水回りや下水管も問題なく使えそうです。
ところどころ雨漏りが見受けられましたが、中島さんによると、雨漏りは古民家を視察するときに特に重要なチェックポイントとのこと。雨漏りを放置すると空気中の腐朽菌が木の繊維を破壊するため、建物の老朽化がすすみ、修復費用もかさむとのことでした。そのため、雨漏りは優先して改修すべきということも勉強になりました。

空き家その4
(立地抜群のスケルトンの空き家)

空き家その4
(立地抜群のスケルトンの空き家)

空き家その4
(立地抜群のスケルトンの空き家)

空き家その4
(立地抜群のスケルトンの空き家)

うだつの上がる町並みの中心エリアの角地に建つ空き家。建物内はほぼ柱のみで壁も少ないスケルトン状態。新しいものを一からDIYで作りたい方にはおすすめです。
建物は2階建てで、一部吹き抜けの箇所もありました。2階の床は抜け落ちる可能性があるとのこと。断熱材もない箇所があったり、シロアリの跡も見受けられるなど老朽化が進んでいました。柱や床などは非常にもろい状態で、触ると揺れる箇所も多い状態でした。

③ 候補地の採寸・図面づくり 

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作成したリスト一覧の空き家をひと通り見学し、活用できそうな候補物件を2軒に絞ります。その後、実際に2軒の空き家の採寸と図面作成にとりかかります。
測定には専用のメジャー(コンベックス)とレーザー距離計を使用。メジャーは通常のものより強度があり、曲がりにくいのが特徴です。またレーザー距離計は天井などを測る際に使うもので、レーザーポインターで細かく距離を測れます。

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3組のチームにわかれ、各部屋の柱の位置や間隔、高さなどを測定していきます。測り方が難しい箇所も、中島さんのサポートで無事終了。
実際に採寸したデータをもとに、平面図を手書きとパソコンで作成します。
※個人情報により、データは非公開

④ ディスカッション・アイデア出し 

 

図面作成後には、今回現地で見学・調査した候補の空き家を活用して「やりたいこと」のアイデア出しを行いました。
さまざまな意見がでましたが、大きく3つのカテゴリーでまとめてみました。

  •  収益性をかねた活用
  •  コミュニティスペースとしての活用
  •  無料で利用できる施設

収益性を兼ねた活用案としては、主に飲食店(軽食)があがりました。うだつの上がる町並みでは食べ歩きができるようなお店が少ないという理由からです。また学校が近いので、学生でも手軽に買えるものがよいのではという意見もありました。
そのほかには美濃和紙を使ったコンセプトホテルの運営や、アーティスト向けのレンタルスペースなどといった意見も。
コミュニティスペース案では、美濃市でハンドメイドや販売を始めるにあたっての相談・情報窓口、また美濃和紙などをつかったDIYの提供やワークショップ施設といった、美濃の伝統品である美濃和紙とかけあわせた活用例なども意見としてあがりました。
無料で利用できる施設案には、休んだり、買ったものを食べたりできるような座れる休憩所や、小倉公園や長良川方面までも含めた観光PRの場といった意見などもありました。

現地視察を終えて


今回うだつの上がる町並みエリアの主な空き家をみてまわりましたが、現地で実際に空き家を見学したり、採寸・図面まで作るという機会はとても貴重な体験になりました。
中島さんは、空き家を活用し後世に残していきたい理由として以下の点をあげられていました。

  • 町を形成している大事な風景のひとつである
  • 木造のため、柱などの部材をとりかえたりすることで長年使える
  • 建物が古いほど土壁や瓦など地域の土や材料を使っていて、解体後も土にかえるので、とてもエコである
  • 地域性に富む建物である
  • 人を惹きつける魅力がある 

今回のぎふクラフト室のプロジェクトは、地域の想いを汲み取りながら、少し離れた視点からも考えるという意味で、大きな意義があると感じました。
今後の空き家活用の提案が楽しみです!