【公式】岐阜県への移住・定住ポータルサイト 小林 賢泰(こばやし たかひろ)さん |移住者インタビュー|ふふふぎふ|岐阜県 岐阜県

interview

豊かな森林に恵まれた地で 林業の仕事と暮らしを楽しむ

小林 賢泰(こばやし たかひろ)さん

- 林業

プロフィール

山梨県出身。
福島県いわき市の山の中で家族6人で暮らしていたが、2011年3月に東日本大震災が起こり、福島原発事故が発生。
従事していた林業の仕事が続けられることを条件に、全国で移住先を探し、2012年に岐阜県中津川市に家族で移住。
現在は、中津川市にある加子母森林組合で林業の仕事を続けている。

岐阜県東濃地域にある中津川市は、古くから林業が盛んで、銘柄材「東濃ひのき」の産地として知られています。
リニア中央新幹線の駅が開業予定で、開業後は東京まで約60分での移動が可能になります。
2012年に福島県いわき市から中津川市加子母(かしも)に移住し、森林で木を伐採する仕事に従事する小林賢泰さんに、お話を伺いました。
Q1.移住のきっかけはなんですか?

  福島県のいわき市で、子どもたちを自然の中で育てたいと思い、
  家族6人で山の中の一軒家に住んでいたのですが、
  2011年3月に東日本大震災と福島原発事故が起こり、強い不安を感じて、すぐに移住を検討しました。

Q2.どのように移住先を決めましたか。

  まず、震災の直後に、子どもたちを山梨県にある私の実家に避難させました。
  私たち夫婦はいわき市に残って、移住先を探し始めました。
  私が林業の仕事を続けられることを条件として、
  三重県や長野県、九州など全国の林業が盛んな自治体からパンフレットを取り寄せました。
  その中で、移住先の候補の一つだった岐阜県恵那市の移住担当者から、
  林業の仕事に就くなら、恵那市の隣にある「東濃ひのき」の産地・中津川市加子母はどうか、
  と紹介していただきました。

Q3.移住先の決定から引っ越しまでの流れを教えてください。

  早速、家族全員で視察のために中津川市加子母を訪れました。
  そしたら偶然、泊まった宿を管理していたのが加子母森林組合の副組合長で、
  私が移住先と仕事を探していることを話すと、「ぜひ加子母に来なさい」と言ってもらえたんです。
  そこからはトントン拍子に話が決まり、子どもたちの新学期に合わせて、
  2012年4月に、家族6人で中津川市に引っ越しました。

▲左から賢泰さん、妻の英子さん、現在中学3年生で剣道部に所属する次男の慧さん

Q4.移住した当初、不安などはありましたか?

  移住当初は、私たちも震災の影響で大きな不安を抱えていて、精神的に非常にきついことが多く、
  なかなか周りの方とも笑顔で積極的に交流するような余裕もありませんでした。
  でも、森林組合の宿舎だった建物を紹介してもらって、そこに住むことができたり、
  今思うと、周りの方々はそんな私たちのことをいろいろと気遣って、
  ゆっくりと見守ってくれていたんだなと思います。

Q5.お子さんたちの様子はどうでしたか?

  子どもたちは、震災直後の1年間、山梨県にある学校に転入して、
  また翌年に転校することになったので、そのストレスも心配していたのですが、
  すぐにこちらの学校にも馴染んで、言葉も“加子母弁”になって安心しましたね。
  小中学校合わせて全校生徒が100人ほど、1学年1クラスで、10人ちょっとの持ち上がりなので、
  馴染みやすかったのかもしれません。

Q6.中津川市での暮らしはどうですか?

  移住から10年以上が経ち、ようやく気持ちのゆとりが出てきたのですが、
  ここはのどかで自然が多く、でも、程よく“都会”で便利。
  暮らしやすい、いいところだなあと思います。

▲穏やかな笑顔でお話を聞かせてくれた賢泰さんと英子さん

Q7.現在のお仕事について教えてください。

  加子母森林組合に勤めていて、森林伐採の仕事をしています。
  組合が所有者から伐採の依頼を受けた山に入って、木材となる木をチェーンソーで切り倒し、
  重機を使って引き上げて、葉や枝を切り払って造材するまでを、
  2人以上でチームを組んで行っています。
  伐採するのはひのきが7割、杉が3割ほどで、樹齢60〜70年ほどのものが多いですが、
  中には100年から200年以上の木もあります。
  1本1トンを超える木が、かなりのスピードで倒れる、大怪我や命の危険もある現場なので、
  常に安全に気をつけて作業しています。

▲伐採した木は縄をかけ、グラップルという重機で引き上げる

Q8.林業という仕事の魅力を教えてください。

  真っ暗で鬱蒼としていた森林が、間伐をして、
  明るくきれいな森になっていくのを見るのが好きなんです。
  加子母という地域は林業に関心が高く、山が管理されて、きちんと手入れされてきたんですよね。
  初めて加子母に来て山を見たときに、すごくきれいな山だなと思いました。
  東濃ひのきは、年輪の幅が狭くて色もピンク色をしていて美しいのですが、
  こんないい木を切れるなら、ぜひここで仕事をしたいと思いました。

▲伐採したばかりの東濃ひのき

Q9.1日のスケジュールを教えてください。

  毎朝7時に森林組合の事務所に出勤して、ペアの職員と一緒にその日の現場に向かいます。
  12時頃から1時間ほど昼休憩を取って、16時半頃には作業を終了し、
  17時には事務所に戻って退勤します。残業は全くありません。
  天気の良い日の昼休憩では、現場の木にハンモックをかけて、
  そこでお弁当を食べ、のんびりと過ごします。
  鳥の声が聞こえたり、風を感じたり、その時間が心地良いです。
  15分くらいハンモックに揺られて寝ていると、鹿やカモシカ、狸などの動物が現れることもあります。
  自分がここにいていいんだと思えるというか、
  自然と一体になっている感じがして、すごく気持ちがいいですね。

▲ちょうど良い太さと間隔の木を見つけ、あっという間にハンモックをかける賢泰さん

Q10.休日はどのように過ごしていますか?

  子どもが小さい頃は、一緒に近くの山に登ったり、沢登りをしたりしていました。
  山が庭のようなもので、家からいろんなルートを歩いていました。
  そういう遊び方ができるのも、加子母の良いところですね。
  私は山の中にいるのが好きなので、休日も山に出かけています。