【公式】岐阜県への移住・定住ポータルサイト 千田 崇統(せんだ たかのり)さん |移住者インタビュー|ふふふぎふ|岐阜県 岐阜県

interview

美濃和紙やアートに触れる 里山テーマパークをオープン

千田 崇統(せんだ たかのり)さん

- 美濃手漉き和紙職人・ワラビーランド主宰

プロフィール

岐阜県各務原市生まれ。
大学卒業後、イギリスのロンドンに滞在。
帰国後、美濃市の「美濃和紙の里会館」に勤め、2010年に家族で美濃市に移住。
美濃手漉(す)き和紙職人のもとで修業後に独立し、工房がある美濃市蕨生(わらび)で里山体験ができる宿泊施設「ワラビーランド」をオープン。

岐阜県の中濃地域にある美濃市は、1300年以上の歴史を持つ「美濃和紙」の産地で、
「本美濃紙」の手漉和紙技術はユネスコ無形文化遺産に登録されています。
また、歴史的建造物が建ち並ぶ「うだつの上がる町並み」などもあり、国内外から多くの観光客が訪れます。
そんな美濃市に家族で移住して美濃手漉き和紙職人になり、
“里山テーマパーク”として「ワラビーランド」をオープンした千田崇統さんに、お話を伺いました。
Q1.移住のきっかけはなんですか?

  結婚後にハローワークの求人で、『美濃和紙の里会館』で来館者に紙漉き体験の指導をする仕事を
  見つけたのが大きなきっかけです。
  美濃市の空き家バンク『NPO法人美濃のすまいづくり』で情報を見つけて、
  2010年8月に、空き家だった古い民家に引っ越しました。
  ちょうど長女が4か月の頃でした。

Q2.手漉き和紙の職人になった経緯を教えてください。

  美濃市に移住した翌年に、美濃手漉き和紙職人の市原達雄さんが
  後継者を探していると知って、弟子入りしたんです。
  師匠から技術を教わって、修業後に引き継いだ「大光工房」を、
  美濃市蕨生という地名にちなんで「Warabi Paper Company」という名前に変えて、独立しました。
  また同時に、市原さんが以前住んでいた工房の前にある家を譲り受けて、家族で暮らし始めました。

▲師匠の市原さんから、工房と一緒に貴重な道具も引き継いだ

Q3.なぜ「ワラビーランド」を作ろうと思ったのですか?

  師匠から譲り受けた家のすぐ近くにも20年ほど使われていない空き家がありました。
  そこの家主さんから、何か活用できないかと声をかけてもらって、
  工房で紙漉きを体験したい人や、外国人旅行客が泊まれる宿にしようと思ったのが始まりです。
  和紙の可能性や美しさを、“楽しい”という視点で体感してもらったり、
  里山の“暮らし”を体験してもらったり、地域の人と外の人が交わる場所になればいいなと思って。
  この蕨生に“里山テーマパーク”を作るというイメージですね。

▲約1年かけて、空き家を宿に改修

Q4.和紙の魅力を教えてください。

  和紙は優しい、柔らかいイメージだと思いますが、
  紙の状態では伝わらない、モノや形になることで伝わってくることもあると思います。
  だから、和紙の新しい可能性や芸術性も追求するために、アート和紙作品も制作しています。
  宿のフロントや各部屋の壁なども、すべて自分で漉いた和紙を貼っています。
 
▲客室の壁や天井には、千田さんが漉いた和紙が貼られている
 山県市で撮影された風景写真も、和紙に印刷されている

Q5.日々の暮らしについて教えてください。

  8年ほど前から、家族7人で美濃市御手洗にある古い民家に住んでいます。
  毎朝、工房や宿があるワラビーランドに来て紙漉きをしたり、
  近くの畑で和紙の原料になる楮(こうぞ)を栽培しているので、そこで農作業をしたりしています。

▲妻の薫子(しげこ)さんは主に宿の料理と癒し担当
 子どもたちも掃除などの仕事を手伝う

Q6.美濃市の印象はどうですか。

  田舎すぎない、心地よい田舎という印象ですね。
  道の駅やスーパーもありますし、東海北陸自動車道のインターからは
  名古屋にも1時間で行けて便利です。
  それから、美濃市は川がきれいで、自然も人も“濃い”印象があります。

Q7.これから移住をしたい方にアドバイスはありますか?

  自分が意識していることですが、少し“適当”で、考えすぎないことが大切かなと思います。
  どんな場所でも住めばいろんなことがありますよね。
  家のこと、人間関係のこと、仕事のこと。
  根詰めて考えるすぎるとパンクしてしまうので、
  ある程度の適当さがあるほうが、乗り越えられるのかなと思います。

Q8.今後の展望を教えてください。

  実は、宿のすぐ近くにある別の空き家も、何か活用できないかと声がかかって、
  現在、その建物の改修もしているんです。
  さらに味噌蔵も増設しています。
  いずれ、火を起こしてかまどでご飯を炊いたり、土に触れたり、味噌を作ったりといった
  里山の“暮らし”が体験できる場所にしたいと思っています。