去る9月22日、『TURNSのがっこう岐阜科 –3限目-』の授業が開催されました。テーマは「空き家の利活用」。岐阜で「空き家」を使って事業を展開する講師2名にご協力いただき、「空き家」の可能性やまちづくりのヒントについてお話を伺いました。
まずは、岐阜県の紹介です。岐阜県は、全国20番目に空き家の数が多い場所です。空き家バンクは、42市町村のうち33市町村が設置しています。
この日は、“暖炉・果樹付き”物件や“家庭菜園付き”物件など、岐阜にある多様な空き家物件を紹介しました。
また、ユニークな不動産会社・団体も岐阜県には多くあります。
・(中津川市)空き家再生隊『ボロンコビリー』
https://www.facebook.com/akiyasaiseitai/
・(本巣市)山ねこ不動産
https://yamaneko.site/
・(飛騨市)シンエイ地所
http://www.shin-ei-jisho.com/
・(高山市)白栗不動産
https://www.hakuguri.jp/
どんな空き家があるのか知りたいと思う移住検討者には、このような様々な団体から、自分にぴったりな住まいを見つけることができます。
HPを覗いて見るだけでも、移住後の暮らしをイメージすることができますね!
ファシリテーターは、郡上市で移住相談員や「郡上カンパニー」の事務局を務める小林謙一さんです。
いち消費者から「生み出す」暮らしを求めて郡上に移住をされた小林さん。現在のお住まいは、なんと、ご家族や地域の人と一緒にDIYで作り上げたマイホームだそうです!まさに「生み出す」暮らしを体現されていると言えます。
そして、メインの講師トークが始まりました。
今回の講師も豪華メンバーで、有意義なお話をたくさんお聞きすることができました!
一人目の講師は、岐阜市で「株式会社ミユキデザイン」の取締役として活躍する大前貴裕さん。地域の人々を巻き込みながら空きビルを再生していく醍醐味を、この様に語ってくださいました。
「最初に『まちでつくるビル』を手掛けた時、入居する人と一緒にリノベーションをして少しずつ形が出来てくると、人々が打ち解けていって、“面白いことが出来そうだな”っていう雰囲気ができてきました。シェアオフィスの面白いところは、全然知らなかった人が何かするときにすぐ仲間ができること。商店街の散歩ツアーをやったり、入居者同士で結婚する人がでたりなど、参加した人達がどんどん“まちの当事者”になっていきました。」
二人目は、郡上八幡で「ゲストハウスまちやど」「タテマチノイエ 」の管理人を務める木村聖子さんです。木村さんが「ゲストハウスまちやど」を立ち上げた理由は、移住後の暮らしと仕事を重ねたところにありました。「移住してせっかく家を借りるのならば“宿業”をやろうと思いつきました。自分がキャッシュアウトするのだったら、ビジネスをやればいい!と思ったんです。」
そうして始めていく中で木村さんは、“人が集まる場所づくり”についてこの様に考えます。「まちの人がどうしたら喜んでくれるかをまず先に考え、そこから箱を作っていくのです。その結果、“まちづくり”に繋がりました。」観光地である郡上八幡でも若い人の流出は課題となっていますが、その若い人たちにとって「何があれば来たくなるのか?」ということを真剣に考え、そのニーズを宿のコンテンツに落とし込んでいきました。
講師のお二人に共通していたことは、ただ「空き家」をDIYやリノベーションで再生させただけではまちづくりは成立しないということです。
“まちがどうなっていくといいか?”、“地域の人々がどうしたら喜んでくれるのか?”というのをじっくりと考え、その考えに共感してくれる人ややる気のある人を巻き込みながら“場づくり”をしていくことが何よりも大切なのだと分かりました。
さらに、そこで起業したくなる仕組みや人と人とが繋がるイベントを企画するなど、空き家を再生した空間に何らかの「役割」を持たせることができると、一過性ではなく「継続」した取り組みを起こすことができるのではないでしょうか。
その様な「空き家の利活用」が、とても素晴らしいまちづくりの実現に繋がるのだと学べた授業となりました。